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集中豪雨の状況は数時間程度の短時間の雨量データでよく見られるのですが、そのような観測データが長期間にわたって利用できる観測所は少なく、長期間にわたって利用可能なのは日雨量データです。 月降水量などの長期間のデータでは、たとえ数日間の豪雨があっても雨の弱い日や降らなかった日が混在しますから、豪雨の発生はあいまいになってしまいます。
従って、月雨量データから豪雨の発生の長期傾向を見つけることは困難ですが、日雨量のデータでは、集中豪雨の結果が直接反映されるので、集中豪雨に関する有意な結果を得られそうです。 今まで、日降雨量の最大値として記録された世界の第1位は1870ミリで、1952年3月のインド洋のマダガスカル島の東方海上のレユニオン島で観測されたものです。
日本での日雨量の過去最大値は、徳島県木頭村.日早における1976年9月1日の214ミリで、台風にとも、なったものでした。 この他に、200ミリを越える日雨量が観測されたのは、1957年7月25日に長崎県西郷で観測された209.2ミリで、梅雨前線によるものです。
気象庁所属の測候所や気象台のデータでは、最大の日雨量の第1位は、1968年9月26日の尾鷲(12重県)における806.0ミリで、秋雨前線によるものでした。 第2位は、同じ尾鷲での1971年9月日の7321.5ミリです。
過去の日雨量の最大値について、上に挙げた世界最大と日本最大や第2位の強雨はいずれも今世紀半ば以降に発生しています。 このことから、記録を更新するような集中豪雨の発生が、時代とともに頻繁になってきているのではないかと予想されます。
得られます。 北海道から沖縄県に分布している気象庁所属の測候所や気象台のうち、1990年までの百年間の日雨量観測データが完備しているのは58か所です。
これらの観測所のそれぞれで、過去百年間の最大値の第1位、第2位と第3位が起こった数を、2年ごとの時代別に示したのが45です。 集中豪雨の発生が時代とともに増加する傾向を持っていない場合には、5つの期間内の発生頻度はそれぞれ20%となるはずです。
各観測所では最大の集中豪雨が5つの期間に、平等に発生するものと期待されるからです。 実際には、最大記録の頻度が時代とともに明らかに増加しています。

百年間のうち、初めの4年間に最大値(第1位から第3位まで)が起きて、更新されないで今なお過去最大値であるのは、約26%に過ぎません。 これに対して、約51%は1950年代以降の4年間に起きています。
このように多くの観測所のデータについて調べると、過去の記録を更新するような最大の日雨量が時代とともに増加して、集中豪雨の激しさが今世紀初めから強くなってきたことを示しこの結果は、たとえば、北9州市での集中豪雨が年々激しくなることを意味するのではありません。 2年間にわたって日本全体として見た場合に、どこかで過去の記録を破るような激しい集中豪雨が増えつつあるということです。
日本の状況とまったく同じように、米国でも記録破りの最大日雨量が最近、頻繁に起こっていますので、集中豪雨の激化が世界的傾向であることを示唆しています。 この状況を裏付ける事実が、米国のトルネードと呼ばれる大型の竜巻について認められています。
トルネードは、水平規模はせいぜい1キロメートル以下の小型の嵐ですが、毎秒100メートル以上の強風が吹き荒れて、1つのトルネードで百名以上の死者が出たこともあります。 この嵐は、米国では中部.東部を中心にして毎年2百個以上も起こっています。
トルネードの発生は3〜5月の春に最大で、次に多いのは6〜8月の夏です。 トルネードの発生数。
黒色の部分は春の発生数を、薄い色の部分は夏の数を示す(米国の全国気候データセンターの1992年の報告による)。 年間に6百個以上のトルネードが発生した年は、1953年からだけでしたが、1973年以降の9年間では6年もあり、1991年には千個を越えるトルネードが発生しました。
トルネードは、集中豪雨と同様に、発達した積乱雲に付随して発生するものですから、その発生数の増加は、強い勢力を持った積乱雲の数が時代とともに増えてきた証拠と考えてよいのです。 従って、46は、集中豪雨の活動が時代とともに激しくなってきたことを裏付けるものです。

地球温暖化にともなう局地的な気象現象の変化は、多くの場合、予測が困難です。 45や46の示す状況から、温暖化とともに集中豪雨がひどくなる高潮1991年4月29〜3日に、バングラデシュの第2の都市チッタゴン市付近に上陸した熱帯性低気圧のサイクロンは、6メートルに及ぶ高潮を引き起こしました。
約4万人に達する死者が出て、80万戸もの家屋が全壊した他、道路、橋や防波堤の流失などを含めた被害傾向は確かなものだと言えます。 これも、温暖化がわれわれの日頃の生活に与える脅威の1つです。
地球温暖化にともなって、海面の水位が地球規模で上昇することが予測されているので、高潮の災害が激しくなると懸念されます。 また、高潮の主な原因は、台風などの熱帯性低気圧の強風が海水を海岸に向かって吹き寄せることですから、42で見られたようなハリケーンの暴風の激化が高潮災害に拍車をかけます。
インド洋のモルディブや南太平洋のキリバス島やシバル島などは、海面水位が数センチ上昇するだけで、嵐にともなう高波で全国士が致命的な被害を受ける脅威にさらされています。 台風やハリケーンが襲来しないョ−ロッパでも高潮災害がときどき起こってきました。
19はばく大なもので、その復旧には15億ドルが必要でした。 この地域は、ガンジス川、プラマプトラ川とメグナ川が合流している世界で1番大きいデルタ地帯です。
ここは、バングラデシュの国土の80%を占めていて、その大部分は海抜5メートル以下です。 しかも、毎年平均して1.5回も台風の仲間のサイクロンが襲来し、高潮などの被害を及ぼしています。
この国では、地下水のくみ上げによる地盤沈下が、被害をさらに大きくしています。 たびたび起こる干ばつに悩まされていますから、年々地下水のくみ上げが増えています。
1978年から1985年までの8年間に約5万本の井戸が掘られて、地盤沈下は急速に進みました。 このような状況ですから、温暖化にともなって海面水位が1メートル上昇しますと、高潮で水没する面積はさらに増えて、この国の国民総生産の3分の1を支えている国土が海中に消えると懸念されています。

このような生活環境の悪化のために、ベンガル.デルタに住んでいる人々が、環境難民として移住を余儀無くされる可能性は少なくありません。 その移住先について、内陸の住民や西隣のインドとの間に国際的緊張が強まることが明らかです。
62年2月6〜7日にドイツを襲った温帯低気圧は、中心気圧が960ヘクトハスカルに低下した台風並みの強いものでした。 この時、北ドイツでは毎秒20メートルの強風が吹き荒れて、ハンブルクは6メートル近くの高潮に襲われました。
そのためにハンブルクとその周辺では死者が5百人を越えて、海岸堤防などの被害は円に換算して約2千億円に達しました。 海岸防衛に対して、今まで世界最大の努力を払ってきたのはオランダです。
南東部の海抜約300メートルの丘陵地を除いて、国士の大部分が平野であるオランダでは、約27%の土地は海面以下であり、全人口の約60%の約8百万人がこの低地に住んでいます。

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